高抵抗コイルvs低抵抗コイルの気になる違いについて【テクニカルMOD編】
「テクニカルMODならDLでもMTLでも低抵抗コイルも試してみて!」と言いたいから書いた記事です。
これまで、シングルコイルアトマイザーと低抵抗コイルの組み合わせを何度か紹介してきました。
最近の当ブログのアクセスを見ると、低抵抗コイル記事のプレビュー数が伸びているので、今回は、テクニカルMODを使用した高抵抗コイルと低抵抗コイルの違いについて記事にしたいと思います。
本題に入る前に断っておきますが、今回の記事は高抵抗が美味いとか、低抵抗が美味いという内容ではありません。
ベイパー目線のジュールの法則について紹介します。
メカ派の人もジュール法則は知っておいて損はないと思います。
オームの法則とテクニカルMOD
これまで数々のブログや動画でベイパー向け「オームの法則」は解説されてきました。
オームの法則 ⇒ 電圧(V) = 電流(I) x 抵抗(R)
推測するに、これは「メカニカルMODを使用する場合において、バッテリーとコイルの安全な組み合わせを理解するにはオームの法則が重要だよ」ってことだと思います。
いまのところ私はテクニカルMODしか使用しないので、どちら方というとVW(ブイワット)モードでどれくらいのパワー(出力=熱)を出すか、4.0~2.8Vくらいの間で調整しています。
なので、オームの法則はほとんど気にしていません。
「ほとんど」ということは少しは気にしているのですが、それは何かというと、コイルの抵抗値を0.2Ω以下には絶対にしないということです。
私の使用状況をオームの法則に当てはめてみると
電流 I = 電圧 4.0V ÷ 抵抗 0.2Ω = 20A(アンペア)
となり、バッテリーの連続放電能力が低いものだと、危険な状態になる可能性があります。
いつも通りのコイルだと0.23Ω位が一番多いビルドですね。
ジュールの法則
パフボタンを押すと、電気が流れ、コイルだけでなく電熱線全体が発熱します。
この発熱している状態を式にしたものがジュールの法則といえば分かりやいですね。
ジュールの法則とは
電流によって導体内(電気が流れている場所すべて)で発生する熱(ジュール熱)をあらわす式で
ジュールの法則 ⇒ ジュール熱(Q) =電流( I )^2 x 抵抗(R) x 秒間( t )
※ 電流( I )^2 は電流の二乗です。つまり電流x電流。
です。
今回はジュールの法則と高抵抗コイルおよび低抵抗コイルがどのような関係性があるのか確認してみます。
高抵抗コイルとジュールの法則
オームの法則では電圧が一定の場合、抵抗が大きければ大きいほど、電流は流れにくくなります。
コイルの抵抗が1Ωで電圧が4.0Vだとすると、流せる電流は4.0Aです。このとき5秒間パフボタンと押したとすると、出力は16W(ワット)、発生するジュール熱は80J(ジュール)となります。
つまり、もっと発熱させたい場合は、パフボタンを長く押すか、電圧(電流)を上げる必要があります。
テクニカルMODは自由に電圧を調整できるので、各電圧で5秒間パフした場合のジュール熱の関係
a) 8.0V, 8.0A:8A x 8A x 1Ω x 5秒= 320J
b) 4.0V, 4.0A : 4A x 4A x 1Ω x 5秒= 80J
c) 3.0V, 3.0A:3A x 3A x 1Ω x 5秒= 45J
d) 2.0V, 2.0A : 2A x 2A x 1Ω x 5秒= 20J
お気づきでしょうか?
ジュールの熱は電流の二乗に比例して発生するため、8.0A流すと4.0Aのときの4倍の320J発生し、2.0A流すと4.0Aのときの1/4の20Jしか発生しないのです。
つまり、発熱に関してはコイルの抵抗値よりも、電流のほうが影響が大きいのです。
実際には1Ωのコイルに8A流すには8Vかけなければならないので、いくらテクニカルMODだとしても、現実的ではありません。
従って、4.2V以下で運用することになるでしょうから、1Ωのコイルで5秒間のパフを行う場合の調整範囲は88.2J以下となります。
低抵抗コイルとジュールの法則
もうお気づきの方のいると思いますが、結論から言うとMAX電圧が同じ4.2VのテクニカルMODならば、低抵抗コイルのほうが出力(ジュール熱)の調整範囲が広くなります。
高抵抗コイルと同様に電圧4.2V、コイル抵抗0.25Ω、パフ時間5秒で計算してみます。
電流I = 4.2V ÷ 0.25Ω = 16.8A
ジュール熱Q = 16.8A^2 x 0.25Ω x 5秒= 352.8J
各電圧で5秒間パフした場合のジュール熱の関係
8.0V, 32A:32A x 32A x 0.25Ω x 5秒= 1,280J
4.0V, 16A :16A x 16A x 0.25Ω x 5秒= 320J
3.0V, 12A:12A x 12A x 0.25Ω x 5秒= 180J
2.0V, 8.0A:8A x 8A x 0.25Ω x 5秒= 80J
どうでしょうか。
同じ4.0Vでも1Ωコイルなら80J、0.25Ωコイルなら2.0Vで同じジュール熱を発生できるので、高抵抗コイルより低抵抗コイルのほうが圧倒的に調整幅が広いといえます。
抵抗値と金属量と伝熱面積の関係
導体の電流の流れやすさを示す導電率が一定(同じ)場合、電熱線が細いほど高抵抗になり、電熱線の長さが長いほど高抵抗になります。
電気の流れやすさを示す導電率は金属の種類によって異なります。
VAPEの場合、同じ線径であればSS316L < Ni80 < Kanthal A1の順に単位長さあたりの抵抗が高くなります。
同じ24ゲージの場合
SS316L: 3.65803Ω/m
Ni80: 4.87605Ω/m
Kanthal A1: 7.08441Ω/m
また、線径が太くなるほど、単位長さあたりの抵抗は低くなります。
SS316Lの場合
24ゲージ(0.511mm): 3.65803Ω/m
26ゲージ(0.405mm): 5.82343Ω/m
さらにツイストなどの単線ではないワイヤーになると、抵抗値はさらに低くなる傾向が強く、また、金属量と金属の表面積が増える傾向にあります。
私が好んで使用しているVANDY VAPE SS316L (26ga+32ga)x2+32gaは1m あたり2.788714Ω/mとかなりの低抵抗コイル材となります。しかも金属量が多く、表面積も大きなコイル材です。
同じ発熱量で金属量が多い状態をヤカンに例えると、同じ火力で水が多く入っている状態です。もちろん水の量次第でお湯が沸くまでの時間が変わります。
VAPEの場合は、コイル表面が高温になるまでに時間がかかるか、もしくは、高温になりすぎないことが期待できます。
クラプトンワイヤなどの複数の電熱線を組み合わせて使用しているコイルは、単線と比べると、金属の表面積が広くなる傾向にあります。
VAPEはコイルとリキッドを接触させることでコイル内に発生した熱をリキッドに移し、リキッドを蒸発させています。これを熱交換と呼び、一般的には接触する面積に比例して蒸発能力がアップするので、コイルの表面積が広いほうがミストが多く出せます。
ただし伝熱面積に応じた熱を供給できなければ、ミストを多く発生させることができません。
その点でもテクニカルMODならバッテリーの能力の範囲内で細かな調整が行え、ベストポイントを見つけ出せるかもしれません。
まとめ
テクニカルMODであれば電圧を自由にコントロールできるので、低抵抗コイルのほうが、調整範囲が広くなる。
コイル材質は低抵抗のもののほうが一般的みて、金属量が多くまた金属表面積が広くなるので、ミストを発生させるための熱交換効率が高くすることができる。
テクニカルMOD x 低抵抗コイルの組み合わせなら、一回のセッティングで色々試せますよ。
個人的にはステンレスSS316Lが好きです。おすすめコイル材を貼っておきます。
長文にお付き合い頂き、ありがとうございます。
サンキューべいぱー!